社長ブログ

地域ISPの終わりとはじまり(1)

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
シナプスはインターネットサービスプロバイダ業界(ISP業界)のなかでは、全国でサービスを展開する大手のISPに対して、「地域系ISP」という括りをされます。地域系ISPは名前の通り、サービスの提供エリアを限定したISPであり、もちろんシナプスは鹿児島に限定して通信サービスを提供しています。最近ISP業界誌に、「地域ISPの終わりとはじまり」というタイトルで寄稿したので、ちょっといじって転載します。

株式会社シナプスでは前年度に、会社幹部と一緒に半年近く議論して、経営理念の見直しを行いました。唐突ですが、そのうちのミッションとビジョンをご紹介します。

シナプス ミッション(使命)

・インターネットで、鹿児島の毎日を笑顔にします。

シナプス ビジョン(実現すること)

・鹿児島・お客様・仲間・家族・自分の豊かさを追求します。

・鹿児島の生活が楽しく便利になるサービスを提供します。

・鹿児島に、プロフェッショナルを育成しその能力を発揮できる環境を作ります。

もうこれでもかというくらい、鹿児島推しです。どんだけ鹿児島が好きなのかと。ただ私自身は埼玉県川口市生まれで、三重県鈴鹿市に実家があり、未だにネイティブなかごんま弁は分かりません。

  • 地域ISPの憂うつ

シナプスが創業した1995年から数年間のダイアルアップ全盛期は、鹿児島県内にアクティブな地域ISPが5,6社はありました。家電量販店の売り場応援でよくかち合って、火花を散らしていました。しかしフレッツとY!BBの登場で競争環境は大きく変わって地域ISPは減少し、今の競争相手は全国系ISPとキャリアになりました。これまで、光コラボ・MVNO・ドコモ光・新電力などをやってきましたが、なかなか大手競合との差別化も難しく、規模に劣る地域ISPとしては長らく続く受難の時代で、まだ出口は見えません。

  • 鹿児島の地域性

ISP専業のシナプスがなんとか生き残っているのは、ちょっとの運と鹿児島特有のビジネス環境に依るところが大きいです。鹿児島は県域だけでほぼ商圏が閉じていて、地上波民放などの主要マスメディアや有力な小売に県内資本の企業が多く、県域だけに絞り込んだ販促や提携を行いやすいです。テレビCMも県域だけであれば比較的低予算で流せるので、全国を対象とする大手競合とも、メディア露出の面ではいい勝負ができます。また県民性として「地元びいき」の風潮もけっこうあるようです。

あと2017年に野村総研が公表した「成長可能性都市ランキング」において、なんと鹿児島市が全国で2番目にポテンシャルが高い都市として評価されました。マクロで見れば、人口減少・集落消滅・高齢化・若年層流出など悲観要素も多くて、そんな評価をもらう実感には乏しいです。ただミクロで見て鹿児島に大きな可能性を感じるのが、「ワークライフインテグレーション」を実現する人が増え、さらにそれに魅力を感じる若者も増えつつあり、かつそのスタイルを実現しやすい環境が鹿児島にあることです。

(つづく)