社長ブログ

ローカルの資本主義

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
「オリオンビール社長が語る、ストロング缶をやめた理由『黙っていられなかった』」 というインタビュー記事がありました。オリオンビールはもちろん、沖縄ローカルのビールとして全国的な知名度を誇る飲料メーカーです。そのオリオンビールが目先の売上アップよりも、「(沖縄のアルコール依存症の)当事者の方からはストロング系チューハイを睡眠薬みたいに寝る前に飲むのが癖になってしまったという話も伺い、黙っていられなくなり」、その販売終了を決断したという記事です。シナプスも「インターネットで、鹿児島の毎日を笑顔にします。」という理念を掲げて、鹿児島ローカルにこだわる会社として、オリオンビールの決断には感銘し、勇気づけられました。
話は変わりますが、ちょっと前までは、校庭の銅像で有名だった二宮金次郎ですが、江戸時代において、経済に精通した有能な官吏でした。その金次郎が言ったとされる有名な言葉で、「道徳なき経済は罪悪、経済なき道徳は寝言である。」というものがあります。言い換えると、ひたすら利益だけを追求するのは悪、だからといって、良いことだから赤字でもいいもダメ…ということでしょうか。
この言葉を知ったとき「なるほど!」と思ったのですが、ちょっと考えるとその実行は、そんなに容易なことではありません。特に「道徳なき経済」です。資本主義という苛烈な競争状態に置かれる企業としては、道徳も無くなりふり構わない競争相手に対して、律儀に道徳を守って戦えるだろうか?と。そう考えると金次郎の「道徳なき経済は罪悪」は理想論であって、いつかそうなればいいよね!という夢なのかと。
でも最近の社会状況の変化、特に善悪は別として、SNSなどを通じてあっという間に情報が拡散する社会となって、その金次郎の理想論(?)が現実になる実感を持つようになりました。特に企業と消費者/生活者の距離が近い地方にあっては、なおさらのことです。
前出のオリオンビール。意外でしたが、沖縄での市場シェアが下がってきており、オリオンビール社長は「沖縄県民の支持をもう一度取り戻すことが重要」と考えて、改革を進めているようです。そのなかで今回の記事にある決断~ストロング系チューハイの販売を止めるは、その決断と企業姿勢は、沖縄のみなさんにきっと支持してもらえる…という考えがあったのかもしれません。道徳の血が通った経済の視点からの決断ではないのかなと。オリオンビールの姿勢の中に、規模だけを追うと見誤ってしまう、ローカルの資本主義の先進性を見た気がします。
シナプスは鹿児島にこだわるとは言ってもまだまだ小さな会社ですが、鹿児島のローカル経済が、道徳豊かで、かつ寝言だけに終わらない強靭な経済に飛躍するときの一助となれるように、自らも成長していきたいです。