社長ブログ

弱いロボット

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
新聞のコラムで、「弱いロボット」を知りました。豊橋技術科学大学の岡田教授がその研究をしており、ちょっと調べたところ、もう10年以上研究をされているのかもしれません。

弱いロボットとは、誰かに支援をしてもらわないと機能が完結しないロボットです。一例を上げると、例えばお掃除ロボットといえばルンバが代表ですよね。弱いロボットにも、「ゴミ箱ロボット」というお掃除ロボットがあります。岡田教授ご自身の講演に詳しいですが、ルンバの開発志向は、(たぶん)一切人の手や意志を介さずに、ロボットが完全に自律的に作動して、特定の場所をきれいに保つことです。複雑で変化する室内環境に適応するために、たくさんのセンサーと運動機能を実装して、高度で複雑な計算をして効率的に自走することを目指し、開発します。一方弱いロボットの「ゴミ箱ロボット」は、苦手なところは人に頼ります。ロボットでの実現が難しいところは、人に手伝ってもらうことを想定します。単純に頼るのではなく、人が積極的に手伝いたくなる仕掛けを考えます。ルンバもゴミ箱ロボットも「きれいにすること」が目的ですが、ルンバは自律・多機能・高コスト、ゴミ箱ロボットは依存・少機能・低コスト、でしょうか。でもどちらも同じ目的を達成します。

普通に考えれば、ルンバのほうが素直に「すごいな」と思います。しかしルンバは、想定しない事態には比較的弱いです。会社のルンバも、配線に乗り上げて座礁していることが多々あります。そこでルンバの開発者は、配線も乗り越えられる新機能の実装を考えるかもしれません。しかし結局、想定外の状況はずっと残るはずです。ゴミ箱ロボットであればどうでしょうか。そもそも人の手伝いを前提とするので、座礁は人が助けるものとして割り切って、機能追加はしないかもしれません。

岡田教授はその新聞で、「ブリコラージュ」というキーワードを挙げていました。ブリコラージュとは、「有り合わせのものをかき集めながら、周りの環境や制約を上手に生かして、問題解決をしていく方法」とのことです。例えるなら「レシピ通りに料理を作るのではなく、冷蔵庫の有り合わせのもので調理をするようなもの」で、新型コロナに翻弄される、今のような正解の見えない時代に対応していくヒントになるのでは…とのことでした。

ゴミ箱ロボットの開発は、技術や研究予算に制約があったからこそ、人に手伝ってもらうロボットを作ろうという発想に至ったらしいです。いま様々な制約を感じることがあります。今後これらの制約が無くなるという想定も、楽観できない状況です。でもだからこそという発想になれるか、新型コロナ下で仕事をする上で、そういった自分自身の変化ができるかを問われている気がしました。

にしても純粋に、こんなロボットだったらスムーズに共生できそう…。