社長ブログ

シュレーディンガーの猫

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
今日2月22日は猫の日だそうです。ということで、タイトルの通り猫にまつわる思い出です。学生時代、「量子力学」という物理学の一分野が必修科目でした。聞き慣れない言葉ですが、パソコンやスマホに不可欠な電子部品である半導体や、最近では量子コンピュータにつながるとても重要な分野です。

量子力学は、とっても難解な物理学です。微分・積分・行列とか数学的に難しいだけでなく、もっとも難解なのは、SF映画以上に日常生活の常識的な感覚からかけ離れた、到底理解し難い不思議な現象を導き出す学問だからです。
こんな学問なので、学生当時まったく理解できませんでした。量子力学担当の先生もそれを分かっているのか、試験前に試験対策の授業をやってくれて、試験はなんとか「可」でパスしました。そしてこんな学問なので、実生活で役立ったことはこれまでまったく無いです。でも量子力学の世界観に触れられたことは、これまで勉強させられた?中で、個人的には一番の収穫だったとも思っています。

学生時代ですが、必修科目の量子力学がさっぱり分からず、学校の図書館で参考書を探していました。そのときに目に止まったのが、ジョン・グリビンの書いた「シュレーディンガーの猫」という本でした。シュレーディンガーは物理学者として超有名人ですが、有名人の飼っていた猫の話か?と気になって手に取りました。しかし中身は、数式の登場しない、量子力学の解説書でした。

シュレーディンガーの猫は、シュレーディンガーが量子力学の解釈方法について、「そんなの現実的に考えておかしいじゃないか!」と批判するために考えた、空想の猫です。シュレーディンガーの猫の空想について詳しい説明がありますが、無理矢理短く言うと「量子力学が正しいというのなら、箱の中に入っている猫は、半分死んで半分生きている状態だということになる。そんなことはあり得ない!猫は死んでいるか、生きているか?のどちらかでしかないでしょ。」というとてもまっとうな話です。
実生活では、生きているか死んでいるかの、そのどちらかしかあり得ないです。半死半生という言葉はあってもそれは生きていることの一表現ですし。しかし量子力学では数式上厳密に、半分死んで半分生きている状態の猫が存在するらしいのです。では猫の入った箱を開けたら、半分死んで半分生きている状態の不思議な猫が見られるかというと、それは見られません。誰かが見たその瞬間に、生きている猫か死んでいる猫かが「選択」されてしまい、どちらかしか見られません。つまり見る人、観察者によって物理現象の結果が変わってしまうのです。
量子力学っておかしいぞ…と思っても、しかしこれまで矛盾は発見されていないし、冒頭に話した半導体技術では欠かせない理論です。実体験として納得できなくても、物理現象として否定できない学問です。

まったく変な話です。ジョン・グリビンの本「シュレーディンガーの猫」のテーマは、Nothing is real./何もリアルなものはない です。半分死んで半分生きている、ふびんな状態の猫のように。

ただいずれにしても、必修科目の試験でギリギリ「可」だったできの悪い学生の理解の範疇ですので、このブログに間違いがあってもご容赦ください。