社長ブログ

守る力

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
お気に入りの回転寿司屋さんに最近行ったのですが、なんと卓上のお茶用給湯器が壊れていました。寿司屋に行って、あがりが飲めず…。その上しょう油用の小皿ストックが切れていて、さらにはガリも底をついている。頼んだビールは10分待ち、「間もなく到着します♪」の機械のアナウンスがあったものの、レーン上を一向に流れてこない寿司。

この回転寿司屋さんは、ふだんは全くこんな事はありません。初めてです。大手チェーンで非常にシステムマティックな店舗運営ですが、にも関わらず店員さんの接客もしっかりしています。パーティションを隔てた奥の厨房から、「いらっしゃいませー!」という元気な声が聞こえてきて、おもてなしの気持ちがしっかり伝わってきます。素人目には合理化の最先端を走る運営体制に見えますが、人手不足なのか。一定のサービスレベルを守ることの難しさを見た思いです。

シナプスが生業とする通信業界でも同じようなことを感じています。
名前を伏せても仕方がないかもしれませんが、とある大手通信会社さんと一緒に仕事をすることが多いのですが、本当にすごい会社です。「通信インフラを守る」という覚悟が、最前線の社員さんにも浸透しています。私が目にしたのは、大型台風が鹿児島市を直撃したその翌日のことです。仕事で朝早い時間に桜島に行ったのですが、切れた電話線の復旧作業がもう始まっていました。他にも、奄美群島に大型台風が上陸するという予報があれば、その事前に鹿児島市内からも応援社員が現地に入って、台風通過後の復旧作業に備えます。「通信会社なんだから当たり前でしょう」と言われればそうかも知れませんが、実務としてはそう簡単なことではないです。社員をわざわざ危険な地域に送り出すときの安全確保とか、そして何よりコストが掛かります。先に人を送り出しておいて、何の被害もなければまるまる無駄です。ここをどう合理的に判断するかはけっこう難しいです。通信インフラを守るという企業としての責任感と、また頼もしさも感じます。

ただ最近、この「守る力」がちょっと弱まってきている?と感じることもあったりします。
一つは、現場の社員の方が減ってきているように見えること、それとその社員の方々の高年齢化など。あと先月から今月にかけて発生した、大規模なシステム障害。率直な感想として、あの手堅い会社がなんで??と思いました。現場の状況とシステム障害をつなげることに客観的な根拠はないのですが、個人的には、ここ最近の合理化の反動のようにも見えます。

合理化は企業にとって当然の活動ですが、通信インフラ維持の視点では、非常に複雑な要素が絡まります。「守る力」とは、平時においてはただの余分、無駄です。平時において100%のフル稼働状態はとても合理的で、理想です。でもその代わり一度ことがおきれば、それに対処する余白がない状態とも言えます。ある分野では、持続的に一定の組織力を発揮するためには、三分の一が現業に当たり、三分の一は休養し、残り三分の一は訓練に時間を割き、そのローテーションで組織力を維持するらしいです。そうすると平時の稼働率は33%になってしまいます。通信インフラを守るという観点においては、合理化を追求することは必然的に守る力の弱体化に繋がります。「そこをうまくするのが通信会社だろう!」と言われればそれまでですが、同時に「もっと安くしろ!」とも言われる立場でもあるので、非常に難しいです。

シナプスも、規模は小さいながら通信会社のひとつとして、偉大な先輩企業を見習いながら、あるべき合理的な組織のあり方、守る力を模索していきます。