社長ブログ

勉強する気はなぜ起こらない?

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
長女が勉強しないなーと思っていたところ、「勉強する気はなぜ起こらないのか(ちくまプリマー新書) 」という本に巡り会いすぐさま購入。ところが、大人・社会人が仕事や人生に向き合う姿勢についても参考になる、(個人的には)とても良い本でした。

著者は外山美樹さんという方で、教育心理学を研究されています。目次だけを拾ってみても、
・やる気は内からくるのか、外からくるのか
・なぜ誘惑に負けてしまうのか
・目標設定で差をつけよう
・やる気を左右する周囲の存在
・ネガティブでも大丈夫
・やる気がなくなったとき
という内容で、全編においてとてもそそられます。そのなかでも面白かったのがスタンフォード大学で行われた「マシュマロ実験」です。この実験で、人生を左右するものは何か?が明らかになります(ただし諸説あり…とも)。

そのマシュマロ実験とは?その実験を再現したものがYoutube/The Marshmallow Test | Igniter Media | Church Videoにもあります。それは、保育園の園児(4歳)の目の前にマシュマロなどの好物のお菓子を置いておき、「15分間食べずに我慢できたら、もう1個あげるよ。」と言って一人ぼっちにする、という過酷な実験です。その実験結果は、3分の2の子どもは残念?ながらマシュマロを食べてしまい、2個目ゲットとならずでした。マシュマロの誘惑はかなり大きいようです。
しかしこの実験の真の意図はここからです。この子どもたちはその後40年以上に渡って追跡調査をされることになります。目前の誘惑に抗えなかった子どもと、誘惑に打ち勝ち、見事2個めのマシュマロを手に入れた我慢強い子どもに、その後の成長の差はあるのか?という、なんだかちょっと怖い実験です。
さて結果…マシュマロの誘惑に耐えた子どもたちは、耐えられなかった子どもたちと比べて、教育水準、仕事、経済力、他者からの評価、健康などのあらゆる点のパフォーマンスが上回っていたそうです。この実験から、人生の成功(もちろん様々な価値観はあると思いますが)においては、知能指数や学力、外見的魅力ではなく、「我慢強さ」が重要な影響を及ぼすと結論されました。

ただこの実験はいろいろな前提条件があるので、文字通り鵜呑みにはできないようです。詳細はぜひ本書をご覧ください。しかしもう一点、このマシュマロ実験にはとても考えさせられる結果があります。それは我慢強い子どもの振る舞い・行動です。
いじらしい子どもたちを隠し撮ったカメラ映像を見ると、誘惑に耐えて2個目をゲットした子どもたちは、単に我慢していたのではありませんでした。目をつぶる、マシュマロに背を向けるなど、誘惑が目に入らない工夫をしていたのです。残念ながら敗れた子どもたちは、マシュマロを見続けていました。

何かをしようと思ったとき、それを妨げる誘惑は数限りないです。ましてや自由な大人になればなおさらです。誰も注意なんてしてくれませんし、注意・忠告に耳を貸す素直さも…。そして人の意志なんてはかなく弱いものだと、少なくとも自分自身に対しては100%断言できます!しかし「我慢強さ」が重要であると、マシュマロ実験は教えています。誘惑と弱い意志のせめぎ合い。打ち勝つには、誘惑を遠ざけるという行動、そのまず第一歩が重要なようです。意志や意欲よりも、誘惑を遠ざけるという、最初の小さな行動です。

読了したこの本を長女に贈ろうと思いますが、さてどんな反応をするやら…。