2022月8月8日
こんにちは、シナプス代表の竹内です。
先月、鹿児島国際大学でお話をする機会をいただきました。鹿児島県中小企業家同友会と鹿児島国際大学/中西孝平准教授のつながりのなかで、中小企業論という授業枠で同友会の会員経営者が話をさせてもらっています。学生にも人気のある授業らしく、3年生が150人ほど聴講します。
この中西先生とはFacebookでも友だちになっていますが、その投稿を見ていると、年がら年じゅう何かをしている先生です。大学と小中高校との連携や、企業と学生が協力した商品開発、イベントやワークショップの主催など、いつ休んでいるのかと。そんな学外との連携の一環として実施されている中小企業論の授業です。
話のメインは、一般論として経営的に不利な鹿児島という地方のそのまた中小企業でも、こういう感じでがんばっているよ…というものです。大学生の多くの就職先意向は、都市部志向・大企業志向ということで、違う視点もあるよということを伝えています。これは、シナプスを含めた中小企業の立場からの我田引水ではなく、まさに今時点の竹内の本心として、中小企業も良いよと伝えています。中小企業の良いところの一番は、あらかじめ”社長”や”職場”が見えるというところです。
自分自身の就職はもう30年ほど前になりますが、バブルの時代背景もあってまさに大企業志向でした。
というよりネットの無い時代なので、大企業の情報しか得られません。そして会社説明会に行ってもまず社長は出てきません。話が聞けるのは人事部の担当者か、もしくは同じ大学出身の先輩くらい。採用面接でも社長には会えません。でも当時はそんなものと思って、ある会社に入社しました。入社同期の人数は150人。社長に初めて会ったのは入社式で壇上から話す姿。直接話をしたのは、後にも先にも1回のみ。入社式後の懇親会で、たまたま自分のテーブルに社長が回ってきたときに、「私の配属先はどこですか?」と、今思えばなんとも意味のない質問をしました。その時社長は、私の名札を確認しながら笑みを浮かべ「竹内君か。君の名前は人事の稟議書に載ってなかったな。」と返され、ちょっと場が盛り上がった…というのみ。まあ、いい社長だなーとは思いましたが、それっきりです。
そして次の日の配属先発表は印象深いものでした。同期のうちの数名の配属は子会社への出向。そのうちの一人はよっぽど心外だったのか公衆電話に走って、たぶん親に対して「もう会社を辞める!」と叫んでいました。
今の大企業はどうなのか分かりませんが、当時はそんな感じです。社長の人柄は分からない、どこに配属されるかも分からない。だから上司の人柄も職場も分からない状態で入社します。また新人を受け入れる配属先の先輩たちも、自分で採用面接をする訳でもなく、どんな新人が来るか分からない。人事部が勝手に押し付けてきた新人にどこまで責任感を持てるかも、ちょっと疑問です。その点中小企業なら、社長に直接質問する機会もあるし、会社説明会で自分の直接の上司や先輩になるかもしれない社員とも話ができます。
そしてここも大きな点ですが、リストラです。大企業に就職して当時は安泰と思われていた私の大学の同期も、40歳代で早期退職勧奨にあいました。でも中小企業ならどうか?もちろん様々な会社がありますが、お互いの人柄をよく知る社員をおいそれとは切れないはずです。
大きな会社や有名な会社が、社員となる自分を幸せにしてくれるとは限りません。大きな会社は潰れにくいかもしれませんが、潰れないことと社員であり続けられることは同じではないです。夏休みはインターンシップシーズンでもありますが、多くの学生が、多くの良い企業との良い縁ができればいいなと思います。