社長ブログ

ファクトフルネス

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
タイトルの「ファクトフルネス」は本の名前です。4年くらい前に発刊されて、2020年には年間ベストセラーになった有名な本ですが、残念ながら最近知りました。紹介記事によると、ファクトフルネスとは「データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣」のことで、賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく―とありました。

著者のハンス・ロスリングさんは既にお亡くなりですが、世界中で講演する中で「チンパンジーテスト」なる3択問題で、世界中の”賢い人”に問題提起をしたそうです。3択の問題であれば、文字が読めないチンパンジーでも正解率は33%。では賢い人たちの正解率は?という意図で、例えば以下の問題です。

問題:自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?A~Cのうちどれでしょう?
回答A:2倍以上になった
回答B:あまり変わっていない
回答C:半分以下になった

あくまでロスリングさん調べの結果ですが、この問題の正解率は世界平均でなんと10%。日本に限れば15%とのこと。いずれもチンパンジー以下です。もちろん私も間違えました。こういったクイズも交えて、思い込みや偏ったものの見方について警鐘を鳴らしています。世界はそれほど悪くない。もちろんコロナや大きな戦争や紛争もあるし、世界の問題がゼロになったわけではないです。しかしデータに基づき大きなトレンドで見れば、世界は確実に良くなってきていると。

さてここからは私の経験と主観でデータに基づいていないのでファクトフルネスではないのですが。世界はそれほど悪くないに関連して思うところが。それは、日本はそれほど悪くないよなということです。最近、日本や日本企業の将来を悲観するニュースをよく見聞きします。これに対するアンチにも思えるような、やたら日本を持ち上げるバラエティ番組もあったりします。個人的には、経済の面においてトップレベルを維持できないのは当然かもなと思うし、でもそれであっても、それほど日本も悪くないよなと思います。
数年おきに”英語マスターしたい熱”が高まるのですが、2年ほど前までオンライン英会話をやっていました。外国の人とビデオ通話で直接話をするのですが、毎日30分弱やっても月額6千円程度でリーズナブル、英会話スクールに比べて格安です。講師役の外国人は、本当にいろんな国のいろんな方がいました。アフリカ・東南アジア・中南米、ここで初めて名前を知った旧東欧の国とか。みんな最低限母国語と英語が話せるバイリンガルの大学生や社会人でしたが、いずれも高いコミュニケーション力とホスピタリティを持ち、教養の高さも感じました。そんな人たちが、(たぶん)こんな安い時給のはずの講師アルバイトをしています。そして社会人でも、本業プラス複数のバイト掛け持ちの人も多かった。そこまで一生懸命に働いている人、国がある中で、日本は一定の経済力を維持し、働き方改革が大きな流れとなっているなんて、まだまだ恵まれているのではないかと。

あとも一つ。最近の日本悲観は、古臭い”先進国観”にとらわれている結果ではないかとも思います。
日本は先進国だ、これまでもずっと他の国々より優越してきた、だからこれからもずっと優越し続けているはずだという固定観念です。先のファクトフルネスではデータにより、世界はどこもずっと豊かになっていることが示されています。オンライン英会話でも実感します。アフリカや東南アジアの都会ではない地域でもブロードバンドがあって、なんのストレスもなく英会話のレッスンができました。日本のGDPがインドに抜かれても、国民一人当たりGDPが隣の韓国に抜かれても、それは時代によって抜きつ抜かれつがあります。50年、100年のうちには、中国はもちろんアフリカの国々が日本を大きく上回る富を蓄積したっておかしくはないです。そしてまた、GDPや富だけで人の豊かさが測れないことも周知の事実です。

飛躍しますが、こういった固定観念を振り払ったなかに、鹿児島や地方が新しい価値観で、その存在感を示せるんじゃないかな?とも思ったりします。

ちなみに「自然災害で亡くなる人の…」の問題の正解は、C:半分以下になった です。世界全体の生活水準や社会インフラ整備が向上し、また災害発生時の国際的な協力体制が充実してきて、亡くなる方は大きく減少したとのことでした。