2022月12月26日
こんにちは、シナプス代表の竹内です。ある先輩経営者の勧めもあって、鹿児島県経営品質協議会の会員になっています。この協議会では、日本経営品質賞に則ったプログラムにより、顧客本位に基づく卓越した業績を生み出す仕組みを追求する組織をつくろう…という取り組みをしています。その協議会の母体が刊行した「自己革新実践ガイドブック」という冊子を購入しました。まだ詳しくは読んでいませんが、そこには、間断なき企業組織の変革の必要性と考え方がまとめられています。
自己革新実践ガイドブックでは、企業・組織の変革の種類ということで、3つ挙げられています。それは、①経営環境の変化に追随する順応型、②追随できずに企業の存続が危ぶまれるに至った再生型、③新たな顧客価値を積極的に創造しようとする市場創出型、です。もちろんベストは③番の市場創出型ですが、なかなか容易でも無いでしょう。”変革する”という視点でいちばん簡単なのは②再生型かと思います。もう否応無しの危機状態なので。変革のトリガーとしての危機もしくは危機感。もちろん③市場創出型のような優れた会社・組織であれば、危機的状況になる前に常に先手をうち、未然に危機を回避するのでしょうが、なかなかそれは難しいです。
そういえば、昔なにかで読んだフレーズで「危機こそは、ほとんど例外なしに豊かさへの源泉である。危機は新しい打開の道を追求させるからである。」を思い出しました。ちょっと調べてみると、ルネ・デュボスという細菌学者?の言葉らしいです。自らを変えることはなかなか難しいのであれば、外的環境に変革を強制される「危機」というのも、変化・成長にとって、前向きなものなのかもしれません。話はそれますが、このルネ・デュボスは、きっと多くの人がどこかで聞いたことのある「Think globally, act locally~地球規模で考えて、足元から行動しよう~」を提唱した人とも言われています。
この危機について、もう一つ思い出しました。以前のここのブログ「強い会社・良い会社」で「創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか」という本に触れました。この本では長寿企業の特徴の一つとして、長寿企業は平時には堅実に手堅い経営を行い、非常時には大胆な投資と企業変革を行う…というのが挙げられています。ふつーの会社は、景気の良いときに積極的な投資や採用を行い、不景気になると投資を緊縮して、当然のように人員を削減します。でも長生きする企業はその反対。景気のサイクルのみならず、政変やら戦乱やらの激動を乗り越えてきた強く長寿の会社は、危機を前向きに活用してきたともいえそうです。
またもう一つ、危機ということで思い出すことがあります。霧島市に佳例川(かれいがわ)という地域があります。レトロなJRの駅で有名な嘉例川(かれいがわ)とは読みは同じですが違う地域です。この佳例川地区とはたまたまご縁があったのですが、典型的な限界集落…というか、もう限界を過ぎてる?くらいの地域で、まさに危機的状況です。この危機の中で地元の方々が、地域活性化に熱心に取り組んでいらっしゃいます。3回ほどお邪魔してお話を伺ったりしましたが、元気なご高齢の方々です。愛する地元の存続危機に際して、年齢なんか関係なしに自ら変革を起こそうとされています。そういう意味ではルネ・デュボスの言う通りとも思いました。でも違った視点では、危機こそがこのおじいちゃんたちの元気を引き出したともいえそうです。もし過疎・超高齢化という地域の危機的状況がなければ、若い人が何もかもやってしまい、おじいちゃんたちの出る幕はなかったようにも思います。なので危機そのものが実は、元気・豊かさの源泉ではないかと。
危機はもちろん嫌だし疲れるし避けたいですが、でもとても分かりやすい生きがい・働きがい、また自身の成長のきっかけなのかもしれません。