社長ブログ

昇給にまつわる話

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
今期、会社全体として昇給しました。前期の事業そのものは好調ではなかった(というより不調だった…)ので昇給をする根拠は弱かったのですが、いろいろなことを考え、株主に意向を曲げてもらって無理矢理了解をもらって、昇給を実施しました。シナプスの過去を見ても、異例の昇給幅だと思います。この昇給は今後の会社の成長を目指して、そのための社員個々人の成長と意欲向上の意図もあります。しかし給与は衛生要因であり、「昇給やったー!がんばろう!」の効果は一時的なものだと先輩経営者に教えられたので、その点についてそこまで過度な期待はしていません。

ところで社長面談を年4回実施していますが、先月はこの昇給の内容も含めた社長面談をしました。昇給を実施することは、面談の事前にグループウェアや全体会でアナウンスはしていましたが、金額など具体的な内容は面談で共有しました。十人十色というのはまさにこのことだなあと、社員一人ひとりの反応は様々でした。
社長面談の場で、通知書に書いてある昇給を見た直後の社員の反応の多くは、一言「ありがとうございます。」でした。それから昇給に至った背景などを説明し、今後の一層の行動量アップの期待を話したり、感想などを聞いたりして、最後は「はい、がんばります。」という流れ。嬉しいんだろうけど、まあ想定の範囲内かな…という感想からくる振る舞いでしょうか。別の反応としては、金額を見た瞬間に、マンガのように目が輝き、満面の笑みになる社員も複数いました。「えっこんなにいいんですか!」「もっとがんばります!」、そして「わー何買おうかな!」とか。もう見ているこちらが幸せになって、「あーおれも頑張らないとな」と思いました。
別の反応としてこちらも少数ですが「無反応」もありました。例えば昇給幅が小さくて不満だ、という様子でもなく無反応。書面の金額をちらっと見て、特に何か感想を言うでもなく終了…という。「怒ってんのかな?」と思っていくつか言葉を掛けますが、怒っている訳でもないような。あと更にごく少数の反応として「自分は昇給に値しません」というのもあって、これは意外過ぎて、ちょっと「そうくるのか!」と対応にひと工夫迫られました。

この話は、もっと感謝してよ!とか、そういう話ではないです。前置きをしておくと、昇給は外部環境を参考にしつつも、あくまで本人の実績・行動に基づいて決めています。なのであくまで本人が勝ち取ったものです。私は社長という立場で給与を決める権限と責任を預かっていますが、そういった認識から本心として「給料上げてやったから感謝してね!」という気持ちや期待は無いです。ただ社員の反応を受けた自分自身の感情の変化、また本人の変化を踏まえて、社員本人の素直な真の感情はいったん置いといて、どういった反応がオトクなのか?を考えてみました。

何を言ってるんだ…という気もしますが、真の感情そのままを表情や行動に表すのは、生身の人間としてやむを得ない場面はあるとしても、好ましいものとは思われません。自分自身は何か決めるときや行動するとき、その判断基準として(極力ですが)、①好きか嫌いか? ②損か得か? ③正しいか正しくないか? の3つの物差しを持つようにしています。生の感情そのままの行動というのは、好きか嫌いか? だけのダイレクトな反応なので、もっと他の側面からも考えたほうが良いのではとの考えです。ただ個人的には真の感情そのままの人って、なんだか憧れていますが。

ここで昇給の話のときの、反応についてです。①一言ありがとう ②大喜び ③無反応 ③自分は値しないの4パターンのうち、どの反応が一番いいのか? 人の素直な感情なので良いも悪いもないのですが、敢えて考えてみるとして…です。これはやっぱり「②大喜び」だと、今回実感しました。一番の理由は、面談をしている相手側の私自身も嬉しくなることです。社員の喜んでいる姿は、素直にこちらも嬉しいです。そして「さらに成長しまた昇給してもらえるように応援しよう」という気持ちも生まれます。
そして社員本人の方では、そのとき「もっと頑張ろう」と思っているはずです。それももちろん素晴らしいのですが、でもあくまで衛生要因です。長続きすることは期待できません。それでも好き嫌いの感情を超えた損か得かで考えれば、昇給それ自体への素直な感情はどうであれ「大喜び」をしてみたほうが「得」につながると思います。以前読んだ尊敬する経営者の書籍に「朝起きたら鏡に向かって『お前ならできる』と自分に話しかけていた」という一文がありました。「あんな雲の上の経営者がそんなことを!?」と驚いたものですが、それを踏まえても「大喜び」というフリは、自分にプラスの暗示効果があるんじゃないかと。

私自身を振り返ってみると、前任の社長から昇給してもらったとき「①一言ありがとう」タイプでした。逆の立場になった今、初めてこんなことに気づきました。あまり感情表現が得意じゃないし照れくさいし…まあいいか、と特段どうこうしようと思っていませんでしたが、それは違うかもなと。「②大喜び」、試しにどこかで使ってみようかな。