2024月1月15日
こんにちは、シナプス代表の竹内です。
年末の12月30日、年を締めくくる最後の忘年会が天文館でありました。ただ早く着いてしまい、ちょっとのすき間時間をどうつぶすか。お酒の前のコーヒーもどうかと思われたので、社内に根強いマニアも多い「パチンコ」をやってみました。多分最後にやったのは20歳代の後半か。なので三十年近くも前になります。
パチンコ業界は、1995年頃をピークとして売上規模は減少の一途で、今や半減とのことでした。シナプスの社員(ごく一部)があれだけ貢献をしているのに!私がシナプスに入社した2000年頃は確かに、パチンコを経営する法人顧客もままあった記憶があります。インターネットの商談で何度かパチンコ店舗の事務所に入る機会があり、とても興味深かった…。12月30日の天文館は人の出は多かったですが、私が入ったパチンコ店はお客様はまばらで、ざっと見てパチンコ台全部の2-3割くらいでした。
そのパチンコ体験ですが。
マニア社員からたまにパチンコの話を聞かされていましたが、実際に「やってみよう」と思ってホールをブラブラするとまず、「よく分からない!」という感想を持ちました。どのパチンコ台がいいのだろうか?と。海とか大工とか、あと有名どころでアニメのエヴァンゲリオンとかのパチンコ台がありますが、どれを選べば良いのか
決め手がありません。でブラブラを続けますが、通路は広くないので誰かとすれ違う時は気を使うし、遊技中の人の後ろをウロウロするのもなんだか気が引けます。
とりあえずエヴァンゲリオンでいいかと決めて、その台が並ぶフロアに行きますが、ではエヴァンゲリオンの台の、どこを選べば良いのか?でまた悩みます。パチンコ台の上部には何やらデジタルなモニターがあって、大当たりした回数などの統計データが複数表示されています。でも、読み方がサッパリ分からない。とりあえず、熱中している先客の邪魔にならないようにスペースを置きつつ、適当な1台を選びました。
左上に千円札を投入し…しかし、パチンコ玉が出てこない。恐る恐る何やらのボタンを押してみても変化なし。店員さんを呼びに行くのもちょっと恥ずかしいし、隣の人に聞くのもなんだか申し訳ない。2、3分あれやこれやして、もう千円を捨てて立ち去るかと覚悟したあたりで、パチンコ台の下の方の手元近くにそれっぽいボタンを発見。このボタンを押して、なんとかパチンコ玉が出てきました。
そして次はパチンコのハンドル。このエヴァンゲリオン固有らしいのですが、右手で横方向に回すという従来の形ではなく奥に回すタイプで、左右に2つのハンドルがありました。そして実際に打つと、なんと盤上にはチューリップはもう無いのか…。それどころか、パチンコ玉が目指すべき”穴”が、下部中央に1個しかありません。つまり盤上に1個だけ穴(専門用語でスタートチャッカーのこと)があり、そこに玉が入るとデジタルが回りだし、3桁の数字が揃えば大当たりです。にしても!中央にある大きな液晶画面はにぎやかでいいのですが、アニメキャラやらデジタルの数字やらが激しく動くので、いったいどこに視点を合わせておけば良いのか…。パチンコ玉を追いつつ、液晶画面の動画を見つつと、なかなか忙しいです。
結局、超久しぶりのパチンコ遊技は千円のみで思いとどまりました。
ここから次の忘年会に移りましたが、酒を飲みながらもずっとこのパチンコ体験を考えていました。デジタルガジェットは得意な方だと思いますが、そんな自分がパチンコ遊技に苦戦するとは。自分が苦戦するということは、ご高齢者などデジタルが苦手と言われている方々や、またそうでない方にとっても、つまり大多数の方々にとってパチンコは、今や非常に敷居の高いレジャーになってしまったのではないかと。
敷居が高いと思った点を整理してみると、大きくは3つあります。
1つ目は「情報過多」です。パチンコ台付近にはキャッチ的なポップが掲示されていますが、初心者には何がなんだか。そしてパチンコ台の上にある統計データは、数字がたくさんあるものの意味は分かりません。消化しきれない情報と専門的な用語、そして多くの選択肢で、パチンコ台を選ぶこと自体が難しかったです。
2つ目は「ユーザーインターフェース/UI」です。パチンコで遊ぶのに説明書を読もうという人はなかなかいないでしょう。なのでパチンコ台のぱっと見で遊び方の理解ができることが重要なはずですが、でも今回、なかなか理解できませんでした。またパチンコ台や液晶がにぎやかすぎて、視点を置くべきところにも迷いました。視覚的なにぎやかさがそのまま楽しさにつながらず、ちょっと疲れたりもしました。
3つ目は「パーソナルスペース」です。パチンコは多くの場合、個人のレジャーです。しかしパチンコ台の間隔や通路が広くはなく、個人で無言で没頭する空間としては狭い印象があり、リラックスできませんでした。
と、こんな感想を会社のパチンコマニアに話しました。彼は社歴を超えるパチンコ歴数十年、業界貢献も数百万円になるベテランですが、そんなことを思ったことがないとのことでした。パチンコのベテランにとっては、情報・UI・スペースともに問題がないらしいです。そういう意味では今のパチンコ店は、ターゲットを既存顧客に絞った店づくりをしているのかもしれません。でもそれでは新規顧客が増えず、長期的には売上の向上は容易ではなく、尻すぼみのリスクという懸念もありそうです。
シナプスは通信業界の一員でパチンコのレジャー産業とは異なりますが、でも同じような傾向がないか?はとても気になるところでした。通信とはこういうものだ、お客様はこういう嗜好だとの思い込みで、お客様の裾野拡大の芽を自ら摘み取っていないか?など。シンプルで、誰にとっても分かりやすいサービスのご提供。新年でもありますし、思い込みを排して心掛けていかなければと気持ちを新たにする年末年始でした。