社長ブログ

変わらないという幸せ

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
この前、ある課内のオンライン朝礼で課長が話していました。「どうせ変わらないからと諦めないで欲しい。課としてできること/できないことは確かにあるけど、気付いた会社の課題問題は、まずはぜひ教えて欲しい。」みたいな内容です。本当に同感です。

そんな朝礼と近い時期に社内の研修のなかでたまたまですが、雑談的にこんな会話を耳にしました。「なんか提案すると自分でやらなくちゃいけなくなるから(だから提案することに消極的)。」「そうそう(笑)」というような。どういった流れでこの会話が生まれたかは覚えていないのですが、まあそういう話はよく見聞きするよな、ああここでもか…と記憶に残っていました。

「どうせ変わらないから」も「自分でやらなくちゃいけなくなる」も、経営の目線で見れば、社員にそんな消極的な思いを抱かせてしまった会社組織のほうに問題がある、と言われることが多いです。もちろんその考えには賛成です。組織が変わるか?それとも社員の意識が変わるか?でいけば、経営者にできることは、社員を入れ替えるという極端な方法は当然除き、組織や制度を変えることしか手立てがないです。社員の声にもっと耳を傾けるように自分の姿勢を変える、意見しやすいように心理的安全性を高める、小さな意見にも感謝し、また顕彰する制度を作るなど。それらは経営者の立場としては当然考えるべき取り組みです。ただでも、個人的にはもやもやします。社員の「どうせ変わらないから」も「自分でやらなくちゃいけなくなる」も、行動しないことについて、それは自分のせいではなく会社のせいだ…という考えが、根っこにあったりしないか?という点です。そしてそれが当たっていた場合ですが、その考えは健全なのだろうか?と。

もやもやしている自分自身にも、過去を振り返れば実はたくさんの心当たりがあります。心当たりの一番初めは、シナプスに入社した2000年にさかのぼります。当時の通信サービスはまだ低速なダイヤルアップ接続が主流で、ADSLの黎明期でした。異業種からの転職で通信初心者で何も分かっていなかったのに、ADSLのセミナーに東京まで行かせてもらった記憶があります。そして初心者ながら「これからの時代はADSLなのか!」となんか興奮し、シナプスでもADSLを事業化しようと稚拙な薄っぺらい資料を作って、当時の社長に「やりましょう!」と説得に行きました。何回か提案の機会を作ってもらいましたが、結果は”却下”でした。この時の自分の心境ですが、クチでは「社長はぜんぜんチャレンジの気持ちが足りないんだよな!」と悔しい感じを醸し出していましたが、実はホッとしていたのを、未だに覚えています。却下されてホッとしたんです。それはもしOKを出されていたら、とてつもない仕事量と責任を負うことになるはずだったからです。しかし社長による却下という、やらないことの大義名分を得たことで、それはきれいに回避できました。でも今でも「あのときやっていれば…」と、たまにふと悔いがよみがえることがあります。やっていればシナプスはこれまでと違った成長をしていただろうし、自分も違った成長をしていたはずだよなと。にしても当時、生半可な知識と説得力のない資料でよく言い出したもんだなと。若さですね。。。

さて「どうせ変わらないから」と「自分でやらなくちゃいけなくなる」ですが、そういった自分の後悔もあって、会社のせいにして言わない/やらないはもったいない、自分のために言うべきだしやるべきと思うのですが、でも同じく自分の実体験もあって、そうは言っても「どうせ変わらないから」と「自分でやらなくちゃいけなくなる」という思考はそうそう変えられないです。その思考は短期的には合理的でコスパが良いです。長期的には自分も会社も成長して得なんだよと言われても、そんな不確実な将来より、今のコスパのほうがが分かりやすいです。
そしてもう一つ、変わらなくても済む、自分がやらなくても済むのであれば、それはそれで良いじゃないですか。変わらなくても済む、自分がやらなくても済んでいくのに、なんでやらなくちゃいけないんだ?と言われたら、それを覆す理屈が思いつきません。そして何より、変わらなくても済む、自分がやらなくても済む状態は、とても幸せな状態です。逆に幸せな状態だからこそ、「どうせ変わらないから」と「自分でやらなくちゃいけなくなる」という思考がが許されているとも言えます。そういう意味では、それが許される会社は、なんだかいい会社ですね!

自分も会社も、それらを取り巻く環境も変わらない状況、それはとてもとても幸せな状況です。
今日3.11。自分も会社も環境も、何も変わらない当たり前の日常を過ごせていることに感謝をしたいです。