2024月7月8日
こんにちは、シナプス代表の竹内です。
最近読んだ「エフェクチュエーション-優れた起業家が実践する「5つの原則」」は、とても興味深く、「ああ、持って生まれた才能だけじゃないんだ。」と、勇気づけ(?)られる本でもありました。Amazonの評価も5点満点中4.4と、超高評価です。
エフェクチュエーションとはどんな意味か?ですが、こちらのMBA用語集|エフェクチュエーションに詳しく紹介されています。2008年に作られた概念・言葉で、比較的新しいです。経営者という立場では特に、世の中に対して新しい価値を提案し、提供し続けていくことが求められます。もちろんそんな簡単なことではないので、先人・先輩や成功した方々に学びます。成功した起業家というと、最近だったらイーロン・マスクとかジェン・スン・フアンとか、またGAFAを作った起業家たちとかが思い浮かびます。日本人なら孫正義さんとか三木谷浩史さんとか。いろいろな考えがあると思いますが、個人的には、敢えて言葉を選ばず言えば、そういったスペシャルな素質を持った人たちから学べることは少ないと思っています。一番の理由は簡単で、自分が凡人だからです。もう一つの理由は、そういった成功したスペシャルな人たちの影には、その数倍以上の、成功しなかったスペシャルな人たちがいるはずだという…これは憶測ですが。しかしエフェクチュエーションを知って、「スペシャルな素質を持った人たちから学べることは少ない」は、自分の学ぶ視点がまずかったんだと気付きました。
エフェクチュエーションは、アメリカの成功した起業家たちに意思決定実験をして、成功までのプロセスを再現するなかから見出された、次の5つの原則から成り立ちます。
①手中の鳥 の原則
②許容可能な損失 の原則
③クレイジーキルト の原則
④レモネード の原則
⑤飛行機のパイロット の原則
さて成功する起業家のイメージですが、どうでしょう?卓越した創造力、リスクを恐れない、先見の明がある、抜群の行動力など、そういうイメージがないですか?またゴールとなる目標をしっかり見据えて、ブレずに計画的に行動していくとか。しかしエフェクチュエーションは、そういった起業家のイメージを覆します。自分が今持っているリソース(自分の能力、お金や人脈など)でできる範囲で考える、失敗しても大丈夫なくらいのリスクしか負わない、予期せぬ事態に逆らわずゴールを変えることに柔軟、とか。けっこう自分の等身大のスケール感で事業を進めていく感じです。
そして一番印象に残ったのは、起業の起点が「独創的なアイデア」ではないという点です。アイデアのクオリティよりも重要なものは、とりあえずのアイデアでも何らかの形にしてみて、誰かに聞いてみること、という点です。そしてそれこそが、アイデアがビジネスにつながるかどうかを確かめる唯一の方法だと。またその「誰かに聞いてみる」という第一歩によって、アイデアはブラッシュアップされるし、また自分が持っていないリソースやパートナーに出会って、意外な発展を見るかもしれないと。アイデアを思いつく才能ではなく、とりあえず一歩を踏み出すという行動が重要と理解しました。
このエフェクチュエーションの志向と5つの原則ですが、起業や経営という限られた場面以外にも応用ができそうです。例えば自分のやりたいことが定まっていない、自分には明確な夢がないという人は多いのではないかと思います。だから行動に踏み切れないと。しかしエフェクチュエーションの志向では、それは逆なのかもしれません。自分の持つべき”夢”かどうかの確信はないけど、とりあえず小さな一歩を踏み出して行動してみれば、いろんな出会いや気付きを得て、自分の夢が見つかる…というものです。
とりあえず、よく分からなくてもまずは一歩を踏み出してみる。これが大切なのかもしれません。