社長ブログ

青くささ

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
「青臭い」を調べると、青草から発するようなにおいがするというそのままの意味と、人格や言動などが未熟である、という意味があります。あまりいい意味の言葉ではないですが、今回は最大限、ポジティブな言葉として使っています。

先週、中小企業家同友会という経営者自らが学ぼうという団体の主催する、青年経営者全国交流会in宮崎に参加してきました。「青年経営者」ということで若手経営者主体の交流会ですが、聞くだけなら54歳の経営者にも門戸は開かれています。青年経営者の自らの失敗・成功を含めた自己の体験を「報告」という形式で話して、それを元にして聴講者が7-8人のグループに分かれて約2時間!議論するという、聞くだけで終わらない、かなりハードなイベントです。今回の報告者は、徳島県の鳴門ガス株式会社の代表取締役専務・中岸さんという、近々親の跡を継いで社長になるという方です。歳は30代後半だったでしょうか。
その報告内容は、人口減少やオール電化によるLPガス業界の凋落、変わらない会社、新規事業に対する葛藤、社員の離職、父・社長との関係、そして自社単独ではなく業界全体の取り組み「即湯サービス」への発展など、その一部は、鹿児島という地で通信業を営むシナプスにも参考になる内容でした。

しかしその充実した報告内容に加えて心を打たれたのは、報告者・中岸さんと、同年代の座長・岸さんの「青くささ」でした。
同友会での報告とは、「なにかイイ話をして」「はい、分かりました!」との、簡単なものではありません。経営者だからといって人前で話すのが得意という訳ではなく、また100名近くの前で話すので、かなり入念な準備をします。今回中岸さんは、約半年間準備をしたと仰っていました。そしてその準備は報告者一人で行うものではなく、「座長」と二人三脚で行います。座長と一緒にストーリーを作り、何度も何度もプレ報告を繰り返しててダメ出しをしてストーリーを練り直して、本番に臨みます。そういう意味では今回の報告では、座長の有限会社岸火工品製造所社長・岸さんと一緒に、入念に作り上げられたものです。
中岸さんは冒頭で今回報告をするに当たり、「この報告を機に自分を変えたい」を引き受けた理由に上げていました。周りに合わせてうわべの付き合いをしてしまう、周りからは「何を考えているか分からない」と言われる、そんな今の自分と、過去の自己否定で作られた自分、社長となる重責を担う将来の自分を一本につなげて、新しい自分に変わりたい。報告という単なるアウトプットだけではない、報告者自身の変革を伴う骨の折れる作業が想像されます。それに付き合ったのが座長・岸さんです。経営者の話なのでたいてい、「いい話」「かっこいい話」「教訓じみた話」になりがちです。いわゆる”盛った話”です。しかし今回は違います。想像の話になりますが、座長の岸さんは、中岸さんの思い出したくない過去、半生をえぐるような問いや、露わにしたくない本性を問いかけ続けて、今回の報告を成り立たせたように思われました。それは中岸さんのなんか切迫感ある報告の内容とその報告の言葉・態度に現れていました。そして座長・岸さんによる「座長のまとめ」でも、そんな強い思いを受け止めた、同様に切迫感のあるナマの力強い言葉の端々にも感じられました。

2人の若い経営者の渾身の報告を聞いて、この2人の青くささの新鮮さはなんだろう?「自分を変えたい」という曖昧な、明確に見通せないゴールに向かって突っ込んでいく2人の姿に、紆余曲折はあるかもしれないけど、切磋琢磨してきっとさらにいい会社を作るんだろうなと、青くささという伸びしろを確信しました。若さってすごいなと、イヤですが、実感させられました。