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CEDEC+KYUSHU 2025 の会場Wi-Fiづくりに参加してきました

こんにちは。顧客サポート課の山下 梨紗です。
普段は、シナプスのサポートチームの運営や、対応品質の管理などを担当しています。

2025年11月29日に福岡で開催された「CEDEC+KYUSHU 2025」で、会場Wi-Fiを支える NOC(Network Operation Center)のケーブルチームとして参加してきました。

CEDEC+KYUSHU は、ゲーム開発やコンピュータエンターテインメントに関わるクリエイターやエンジニアが集まり、技術や知見を共有するカンファレンスです。東京で開催される CEDEC のスピンオフとして、九州エリアでの人材育成やコミュニティづくりも目的にしているイベントです。

日々の業務は課全体の方針や仕組みづくりに関わることが多いのですが、今回ははじめて「現場でネットワークを作る側」に入り込んでのお手伝いです。その3日間を、ざっくり振り返ってみます。

NOCってなに?

CEDEC+KYUSHU の会場では、参加者向けのWi-Fiを提供するために、NOC という技術チームが組まれていました。構成はこんな感じです。

  • サーバーチーム
  • スイッチチーム
  • APチーム(アクセスポイント担当)
  • ケーブルチーム(配線・養生担当) ← 私はここ

メンバーは、九州産業大学・福岡女子大学の学生さんたちが中心で、企業のネットワークエンジニアがボランティアで参加する形でした。
普段はISPのサポート部門にいる身として、いつもとは違う立場でネットワークに関わってみたいと思い、今回参加してみました。

11/27:ケーブル作って、テスターでチェック

初日は九州産業大学に集合して、ケーブルチームの作業からスタート。

この日やったことは、

  • 既存LANケーブルの不良チェック(テスター使用)
  • ケーブルの長さ・本数確認
  • 不足分のLANケーブルをその場で作成(かしめ作業)

でした。

カテゴリ6、人生初かしめ

LANケーブルを作るのは十数年ぶり。
しかも今回は、初めてカテゴリ6のケーブルをかしめました。(※「かしめる」とは、ケーブルの先にコネクタを専用工具で取り付ける作業です。)

カテゴリ5eとの違いを、久しぶりに実物で再確認して、

  • 芯線の太さ
  • 中の構造

など、「スペック表では知っていたけれど、ちゃんと触ったことはなかった部分」に触れられて、ちょっと感動しました。

テスターの世界は奥が深かった

作ったケーブルはテスターで1本ずつ確認していきます。

作業の合間に、企業の技術者さんや学生さんと話していて、

  • ン百万円!!!するLANケーブルテスターもある
  • 機種によって「見えるもの」が全然違う(断線チェックだけ/ノイズや減衰まで見るもの など)

という話を教えてもらいました。

日頃、お客様から「回線はつながっているみたいだけど、どうしても速度が出ない」といった相談をいただくことがありますが、もしかすると「そもそも現場でケーブル品質まで測れていない」というケースもあるのかもしれない…と、改めて感じました。

学生さん主導の全体ミーティング

夕方からはNOC全体のミーティングにも参加。

  • 各チームの進捗報告を学生さんが担当
  • 進みが遅れているチームには、他チームから「手伝いましょうか?」と自然に支援が入る
  • 翌日の作業スケジュールを学生さんが説明(最後の教室は21時に空く予定…)

という流れで、「完全に学生さんが現場を回している」空気でした。

社会人歴の長い自分としても、かなり刺激になりました。

11/28:PoEが出ない!で気づいた「疎通」と「品質」の違い

2日目は、授業が終わった教室から配線をしていく作業がメインでしたが、貼り終えたケーブルでPoE(LANケーブルで電源供給する仕組み)のトラブルが発生しました。

ある教室で、

APの電源(PoE)が安定しない

という問題が発生。
ケーブルに問題があるかも、という予測のもと2部屋分のケーブルを張り直したところ、問題はきれいに解消しました。

ここで痛感したのが、「PINGが通る=ケーブルは健康」ではないということです。

お客様対応でも「一応つながってはいるが、すごく遅い」「ときどき切れる」といった声をよくいただきますが、こういうときに「物理的なケーブルの質」をちゃんと疑う必要があるな、と身にしみて分かりました。

この日のケーブル敷設は0時をまわり、はじめて「終電」で帰ったのも良い思い出になりました。

11/29:本番当日、そして撤収

最終日は朝会からスタート。

  • 当日、ケーブルの不良があれば即対応
  • 各教室のケーブル養生をパトロールして、安全性をチェック
  • 16:30にNOC集合 → 17:30から撤収作業開始
  • 機器の初期化手順や、段ボール詰めの段取りを事前に確認

という流れで、やることを整理しました。

本番は大きなトラブルなし

本番中は、目立ったトラブルもなく、Wi-Fiは終日安定して動いていました。

ケーブルチームは、ケーブルが踏まれそうなところを補強したり養生テープがはがれかけているところを直したりといった「地味だけど大事なところ」をコツコツ見て回る役割でした。

トラブルがなさ過ぎて、ベテランのリーダーの方が「つまらないなぁ」とぼやいていたのが面白かったです。(笑)

無線で連携しながら一気に撤収。

夕方からはいよいよ撤収。

チームリーダーの私物の無線機(はじめて使いました!)で、各教室とNOCをつなぎつつ作業開始。他チームの学生さんもどんどん応援に入ってくれて、かなりスムーズに回収完了。その後の打ち上げにも参加させてもらい、最後は当日最終の新幹線で鹿児島に帰りました。

参加してみて感じたこと

3日間を通して、学生さんたちが主体的に動き、技術者の方々がそれを支えるチームビルディングを体感できたことや、ケーブルについては物理層(ケーブル・配線)の大事さを、頭ではなく体で理解できたこと、「疎通しているからOK」ではなく、「品質まで含めてOKか?」という視点が大事だ、ということを学びました。

サポート担当としても、お客様へのヒアリングで「配線の状態」まで意識して聞くこと、現地業者さんへのエスカレーション時に「品質チェックもお願いする」視点を持つことなど、明日からすぐに活かせそうな学びがたくさんありました。

ケーブル張りは体力勝負でしたが、それ以上に楽しくて勉強になる3日間でした。
このような場を用意してくださった関係者の皆さま、一緒に作業した学生さん・技術者の皆さま、本当にありがとうございました!!