社長ブログ

失敗の本質という本

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
久しぶりに映画を見てきました、「ミッドウェイ」。太平洋戦争開戦から約半年、連戦連勝のまさに破竹の勢いだった日本海軍と、連戦連敗で戦意を失いかけていたアメリカ海軍。その両軍の勢いと、戦争全体の流れを一気に大きく変えた一戦の映画です。
映画をきっかけに、以前読んだ旧日本軍の作戦・指揮を分析した「失敗の本質」という本に「ミッドウェー作戦」の章があったことを思い出し、改めて読んでみました。けっこう難解な点もある本ですが、ミッドウェーの勝敗を決した一番の要因は何かという点は、(たぶん)組織内でしっかりと目的を共有しているか?ということかなと理解しました。
映画やまた史実としても、日本軍の暗号を解読していたアメリカ軍は、日本軍の正確な位置や作戦を把握しており、それが勝利につながった…という解釈があります。もちろんそれはそうなんですが、「失敗の本質」ではニミッツ提督の言葉「(アメリカの提督は)不可避な惨事を事前に知ったようなもの」を引用して、それが主因ではなかったといっています。
戦史なので映画のネタバレにはならないと思いますが、勝敗の伏線となるような日本軍側のシーンを思い返してみると、真珠湾での南雲司令長官の判断ミスをなじる山口多聞、それに理解を示しつつ何もしない山本五十六。作戦の図上演習で日本軍に都合よく結果を変える南雲、それを見て特に何もしない山本五十六。ミッドウェー島を攻略するのか、アメリカ軍空母をたたくのかはっきりしない日本軍指揮官たち、でも結局南雲に指揮・判断を任せる山本五十六。そんな感じで、戦いに勝つという目的より組織内部の調和や人間関係が優先される日本軍。映画では各個人の資質や能力に原因を帰着しているようにも見えますが、そういった個性を糾合できない組織の問題が大きそうです。
実際の戦闘は日米双方ともに、混乱した戦局の中で想定外と錯誤の連続であり、一言でくくると勝敗の帰趨は単なる運と不運だったとも言えるような状況のようです。「失敗の本質」では「後知恵」と断りを入れてそういった状況を分析していますが、結局は「何のためか?」という目的がみんなで共有されていなければ、様々な想定外の場面での意思決定や速やかな適応、さらに統一された行動ができず、勝ちを引き寄せられないように思われます。
「失敗の本質」では様々な旧日本軍組織の分析から、現代の日本的企業組織も、未だ昔同様の課題を潜在的に持っているのではと警鐘を鳴らしています。かなり本質的で克服が容易ではない課題です。でもとりあえず何よりまずは、経営理念…ですよね。