社長ブログ

福山高校のフィールドワークに同行して

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
ささやかなご縁がきっかけでここ1年ちょっと、霧島市にある鹿児島県立福山高等学校とお付き合いがあります。実名でいいのかアレですが、折田先生という変わった先生(褒め言葉!)がいらっしゃって、総合的な探究の時間に充てて「福山創業塾」という新しい教育に挑戦されています。
その折田先生を理解する校長先生のバックアップもあって、シナプスを含む民間企業のほか、地元自治体や地域コミュニティ、首都圏の大学や大学生など学校外のリソースも広く巻き込んだ、少なくとも鹿児島県内では先例を聞かない取り組みです。

その一環で11月17日に、福山高校・福高生のみなさんのフィールドワークに同行させてもらいました。霧島市の旧福山町エリアを回り、地域の魅力や課題を再確認する半日で、その様子は学校公式ページでも紹介されています。もちろん主役は福高生のみなさんですが、同行させていただいた自分自身にとっても、気付きの多い半日になりました。

旧福山町エリアは山間部が多く、人口動態としては間違いなく過疎地域です。黒酢やプレミアム焼酎の産地としては有名ですが、地域の経済・産業を大きく底上げする規模ではないです。集約された目立つ市街地もなく、今年になってからやーっと、光ブロードバンドの整備が開始されました。最近のGIGAスクール構想で、「学校の光ブロードバンドでは通信速度が足りない!」という状況も見聞きしますが、福山高校は現時点ではまだADSL回線で、光ブロードバンドの数十分の一の通信速度環境を余儀なくされています。

そんな福山町エリアですが、今回初めて、エリア内に散在する魅力的なスポットの存在を知りました。同行した福山総合支所長の、歴史・地理に関する豊かな知識と、じんじんと伝わってくる強烈な地元愛に裏打ちされた熱い説明も、その魅力度を増す要因でしたが。

そして今回のメインは福山町の佳例川地区です。国道10号線で、「えっここを曲がるの?」という信号のないところから脇道に入り、山の中で何もないくねくね道を1キロほど行くと佳例川地区に着きます。目的地となった佳例川地区公民館は、元・佳例川小学校です。率直な感想としては、この山の中に小学校があったこと自体、驚きでした。しかし1974年に廃校とのことで、もう50年近く前。そのころまでは子どもたちもたくさんいたのでしょうけど、今は佳例川地区に小学生は2人だけだそうです。

ただ佳例川のおじいちゃん?たちは、元気でした。佳例川をどうにかしないと!という気持ちで、今回の福山高校との連携もそうですが、鹿児島大学との連携実績もあります。蔓無源氏(つるなしげんぢ)という幻の芋を栽培して、それを原料としたプレミアム焼酎づくりとブランド化に挑戦。また地域の気候や豊かな水源を差別化に活用したブランド米販売にも取り組んでいます。
しかし、そんな佳例川を引っ張る公民館長や副館長は「若い人が居なくて高齢者ばかり。うまくいっていない。」とため息まじりでした。確かにそうですよね。ざっと地域を見渡しても人影は少なく、車は通らず。うまくいっていないのかもしれません。

でもこの元気なおじいちゃんたちを見ていて、別の感想も持ちました。佳例川のみなさんは、うまくいっているとの実感にはほど遠いのかも知れませんが、あのおじいちゃんたちが「自分たちでなんとかしなくては!」と思っている今時点で、「うまくいっている」のではないかな?とも。高齢になっても、やりがい・生きがいを失わずにいられることが素晴らしいなと。逆に「うまくいって」しまって、若い方が佳例川に入ってきて、おじいちゃんたちの出番がなくなったら…それはそれでいいことなんだろうか?と。地域活性化って、地域のみなさんが永遠に主体的に課題に挑戦し続けるプロセスそのものが成功かもな…などと思ったり。

シナプスの経営理念ミッションは「インターネットで、鹿児島の毎日を笑顔にします。」です。福山高校や佳例川のみなさんと一緒に、少しでも笑顔を共有するにはどうすれば…と考えながら、帰途につきました。