社長ブログ

今どきのワカモノは

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
4月1日朝のJRでは、新社会人であろう人たちを見かけました。ちょっとした緊張感、駅を降りて待ち合わせた同期と会えた時のほっとした感じなど、とてもフレッシュでした。しかし自分はというと、変哲のないいつもの金曜日の朝としてスタートしてしまったことを、なんかちょっと後悔しました。
自分自身の”新社会人”は、もう29年も前になります。ある電子部品メーカーに就職し、実家を出て会社の寮に入ることになりましたが、その出発の日、見送りの駅で涙を浮かべた母親に対して「泣くことかよ!」といらついてしまったこと、今となってはこれもちょっと後悔しています。

ブログタイトルの「今どきのワカモノは」ですが、これは今の自分が新卒当時の自分に思っていることです。別に不良社員ではなく、また不真面目でもなかった(はず)ですが、とても将来を期待される社員でもなかったなと。職場に配属されて1週間くらいだったか、なんかの仕事を任されてそれが終わり、なぜか定時前に帰ってしまったり、または会議中に「おまえ、寝てただろ?」と怒られたり、さらに嫌々やらされた製品検査作業で、ザルのように不良品を見逃したりなど。今こう書きながらも、上司先輩たちはよく根気強く教えてくれたなと、本当にそう思います。良い上司先輩に恵まれました。もちろん当時は、そのことに全然気付きませんでしたが。

そもそも入社後に配属された事業部に、とても落胆していました。なんでこんな小さくて地味な事業部に配属されたんだと。新人研修で仲良くなった同期は全社をリードする花形の大きな事業部に配属されたのに、この差は何だと。
そんな大してモチベーションもない状態で配属されて、いろんな雑務をさせられました。その雑務の一つは「FAXを取りに行く」でした。当時1993年はパソコンの本格普及前で、電話とFAXが主な通信手段です。そしてFAXはまだ高額な機器でうちのような弱小事業部では買えず、他の階にある金持ち事業部のFAXを借りていました。新人の自分は毎日、上司先輩の指示でFAXを取りに行ったり送りに行ったり、または定期的に受信書類を確認しに行くなど、まあつまらない仕事です。こんな仕事に対して先輩にぶつくさ言うと「それも仕事だ」と当たり前に諭され、でも全然納得できず。そんな感じで意識低いまま時間は過ぎていき、弱小事業部は整理統合されみんなバラバラになりました。

でもその数年後になって、気付いたことがありました。FAX係の重要性を。毎日FAX係として目にするFAXでは、その弱小事業部のあらゆる情報が流れています。受注情報、仕入情報、損益情報、クレーム情報など、または事業本部からの指示、営業部門からの市場動向情報など。そして交渉やりとりの経過も、新卒のペイペイがそんな情報に触れることができました。当時は情報管理が緩かったこともあります。FAX情報を勝手に見て、上司に「これってどういう意味ですか?」と質問すらできました。もちろん理解できないことばかりでしたが、会社ってこうやって動いているんだと、大まかな全体像をイメージできるようになっていました。全体像の把握、これは、自分が今何をなすべきか?を考える上で、とても重要なことです。弱小事業部の上司たちがその重要性を分からせるために、こんなグータラ新卒にFAX係を任せたのか?は、その動機の真偽は不明です。FAX係の大切さに気付いたのは、弱小事業部解散のずっと後だったので。

そしてもう一つ、思い出したことがありました。その電子部品メーカーの採用面接です。うろ覚えですが面接官から「入社して何がしたい?」と質問されて、「まだ分からないです。エンジニア志望ですが、自分が何に向いているのか、何でもやってみたいです。」のような、漠然とした0点回答をしたように思います。バブル崩壊直後の大量採用の余韻で何とか採用され、配属された弱小事業部。弱くて小さいがゆえに様々な業務の専任者が豊富なわけでもなく、FAX係をはじめ、1年目からいろんなことをさせられました。原料作り・製造ライン・設備修理・出荷前検査・出荷梱包・設計・品質保証に、資料作成の手伝い、客先への同行カバン持ちなどなど。一方、花形事業部に配属された同期は、残業続きの超多忙で、エンジニアとしてひたすらその専門性を磨いていました。そしてここでも数年後、「まさか…」と思ったわけです。採用面接で「何でもやってみたい」と言った希望が、この弱小事業部で現実になっていたと。面接官の厚意??もちろん、真偽不明です。

いずれにしても、上司先輩にとても恵まれた社会人スタートでした。あくまで今思い返せばですが。2022年春の今どきのワカモノを、恩返しの意味も込めて応援したい気持ちです。