社長ブログ

行動・結果・アウトカム

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
今年度も残り1ヶ月半。ほんとにあっという間。社内ではいま期の変わり目に際して、会社の組織体制や人事考課制度の見直しをずっと相談しています。どうすればみんなもっと活き活きと仕事に向き合ってもらえるかと。

ところで前職の医療業界にいたときに「アウトカム」という言葉を知りました。医療業界のアウトカムとは、医療の質を客観的に評価するときの考え方の一つです。日本の医療機関の”売上”は大まかには、診療報酬制度のもとで国から支払われます。その時に、何に対していくら払うか?の基準が必要ですが、今の診療報酬制度は、患者さんに対して施した治療内容を基準に支払われます。例えば、レントゲンを撮った、注射を打った、薬を処方したなどです。患者さんがその治療で治ったかどうかは関係がありません。この治療行為を基準にするということは、何をしたか?という結果が基準、つまり「アウトプット」基準とも言えます。でもこれだと、患者さん目線じゃないですよね。患者さんにとって重要なのは治ったかどうかです。そこでアウトカムの基準が登場します。行った治療行為ではなく、治療の結果、患者さんが治ったかどうか?を基準にするのが「アウトカム」基準です。実際はいろいろ複雑だと思いますが、アウトプット基準だと盛りだくさんの薬を処方すれば儲かりますが、アウトカム基準だと、薬の仕入れ代を抑えるために最小限の薬の処方で患者さんに治ってもらったほうが儲かります。

全く門外漢の話から始めましたが、シナプスの来年度の考課制度について、この「アウトカム」の考え方を盛り込もうかなと考えています。いや、考えてみたりもしています。…まだ何も決めていないので。
シナプスの考課制度は、社員の「行動」を重視して「結果」は問わない…というポリシーで設計しています。これは、結果は運不運にも左右されるし、結果を社員に押しつけても疲弊してしまうだろうということと、あと「行動」について上長含めてみんなで細やかに議論することで、より良い行動が生まれて、それがより良い結果につながるだろう…という仮説のもとで運用してきました。

このポリシーで3-4年やってきた今、そんなにしっくりきていないことを認めざるを得ないかなと。一番は結局、社員個々人の主体性を奪ってしまっているのではないか、と感じています。より良い「行動」のために、そして一人で抱え込まないように、毎月月初に上長面談を実施しています。でも実態として、自分の行動を細かく指図される、もしくは意図しない仕事が増える面談になってしまっていて、気分の晴れない面談になっている懸念があります。本来は自分の1ヶ月間の行動を、晴れ晴れとクリアにしてもらいたいがための面談なんですが、残念ながらそうはなっていないような。面談で自分の行動が規定されたら、主体性も何もないのかなと。

ただこの「主体性」も難しいです。主体性がある/ないといった話も社内でしますが、本質的に主体性のない人なんていないのでは…といった議論をしたりもします。例えば「寝る」「パチンコに行く」や、極端では「会社をさぼる」でも、それは本人の主体的な判断の結果とも言えます。そういう意味では、本人の主体性が、会社の理念や成長と同じ方向で発揮されるという条件が、さらに付きます。

来年度の考課制度をどうするか?まずは行動重視というアウトプット基準は取り下げるべきか。そして社員個々人に任せて、会社の理念実現と成長に向けた成果を評価するアウトカム基準に移るか。もしくはそのハイブリッド版にするかなど、もう少し社内で相談します。いずれにしても、一人も残さず、みんなが活き活きと働ける職場と制度をどう作っていくか?まだまだ遠いですが。