社長ブログ

会社の役割

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
去年の9月から課長・部長と「経営指針」づくりをしています。経営指針は中小企業家同友会という経営者団体が提唱している経営のフレームワークですが、経営理念・10年ビジョン・経営方針・経営計画の4つを基本骨格としています。これまでにシナプスでもその一部はあったのですが、ほぼトップダウンで社内共有がいまいちだったりしたので、半年間を掛けて、まずは課長・部長と一緒に再策定に取り組んできました。…長かった。

この議論を進めていく間、ずっと「結局会社ってなんなんだ?」を自問自答してきました。会社の目的・役割ってなんなのだろうかと。会社の目的・役割をちょと検索すると「会社の目的はより良い商品やサービスを提供することで利益をあげることです。」とありました。シンプルで分かりやすく反論の余地もないのですが、会社で働く社員目線では物足りなさも感じます。自分にとっての会社とはなんなのだろうか?の問いには答えていないです。

会社で働く自分や社員にとっての会社とはなんなのだろうか?
一時期、ワークライフバランスという言葉がはやりました。ワークとライフ、仕事とプライベートの生活のバランス、調和。様々な解釈のもとで様々な企業がワークライフバランスに取り組んできましたが、ワークとライフ、より具体的には会社とプライベートですが、そのそれぞれを分けて考えてしまう時点で、どうしても相容れなくなってしまうことが多いです。
さらには「ワークライフインテグレーション」という言葉もあります。ワークライフバランスのように仕事とプライベートを分けて考えずに、その2つを統合することで人生をより充実させようという考え方で、フリーランスの働き方との親和性が高そうです。個人的には好きな考え方ですが、でも経営者の立場で社員にこれを言ってしまうと、ほぼブラック企業に映りそうです。
そして最近知った言葉で「ウェルビーイング」というものもあります。未だに感覚的にしかその定義が分からないのですが、パナソニックのウェブサイトによるとウェルビーイングとは、世界保健機関憲章の前文で「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」とありました。ちょっと難解。ただ先進的な企業では、社員のウェルビーイングを重視する考え方を経営に取り入れているらしいです。このウェルビーイングも素晴らしい考え方だと思います。
がしかし、なんだか過度な至れり尽くせり感も感じます。もちろん会社として適切な社員支援は必要ですが、自立した一個人としての自己管理や自己決定をもっと重視しなくていいのかなとも。昔勤めていた会社で業績が急上昇したとき、賞与の一部が会社商品の現物支給ということがありました。そのときの会社側の言い分が「突然に高額な賞与を支給すると社員の金銭感覚がずれてしまい、生活に悪影響がある」でした。ちなみにこの会社は、本当に良い会社です。なので社員のためを思っての現物支給に偽りはないんだろうなと今でも思っています。でも社員を一人前として見ていないとも感じました。このウェルビーイングも、そんな一面を少し感じます。

さて、会社で働く自分や社員にとっての会社とはなんなのだろうか?ですが、ウェルビーイングなどのように積極的に社員に対して「プラス」を提供するより、社員の「マイナス」を補完するのはどうかな?と考えています。具体的には、子育て・介護や病気・事故など、個人での備えに限度があるライフイベントやアクシデントなどのリスクに対して、会社や仲間としてそれを支えるというスタンスです。保険みたいな感じでしょうか。個人と会社組織の決定的な違いは、何かしらの出来事・リスクに対する柔軟な対応力です。金銭的にも人的リソースの面でも、会社の方がパワーがあります。会社の考えるプラスを社員に推していくより、社員のマイナスを会社でサポートしそのサポートを約束するほうが安心して長く働けるという、そういう人も多いのではと思います。

いま作っている経営指針では、そこまで踏み込むことはできていません。この3月は、課長・部長と策定した経営指針を全社員に公開し共有します。まだ100点の経営指針となっていないことも、残念ながら自覚しています。ただこの経営指針をベースとして来年度、全社員でブラッシュアップをし続けていきます。そのなかで「会社で働く自分や社員にとっての会社とはなんなのだろうか?」に対する正解をみんなで考えています。