社長ブログ

特別扱い

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
世の中は空前の人手不足のようです。これまでシナプスでは「なんとかなってきた」感がありましたが、最近の求人の応募状況を見ると、今さらながら超売り手市場の実感が湧いてきました。

あとシナプスの経営上の大きな課題の一つに「新卒採用」があります。実は創業以来、継続的な新卒採用をしたことがありません。未経験・若年層の採用はありましたが新卒採用はなく、これも「なんとかなってきた」ため、ずっと後手になっていました。しかし今後の一段のステップアップのため、既存社員の更なる成長のための良い刺激としても、新卒採用はもう後回しにできないと考えて、まずはインターンシップの受け入れをすることにしました。インターンシップの受け入れは久しぶりなことと、これまで”自己流”でやってきてそれが正解なのかも自信がなかったので、鹿児島県の支援制度を活用して専門家のアドバイスを頂くことにしました。先週その専門家との第一回打ち合わせがあったのですが、しかしここでもやはり、学生優位の超売り手市場は顕著。インターンシップの中身の充実はもとより、見せ方もよっぽど工夫しないとインターンシップの応募はないとのことでした。やっぱりか…。

その第一回打ち合わせであったヒアリングの質問事項に「どんな学生に来て欲しいですか?」というものがありました。当然の質問ですが、事前にしっかり準備していなかったので、つい「理念に共感してくれて、積極的で、主体性があって、挑戦するマインドがあって、コミュニケーション力があって…」などなどと答えました。まあなんと言うか、自らの力量不足・努力不足を学生の素養に責任転嫁しているような。ただ実はシナプスの部長たちとは常々、人材イメージの話はしていました。そのなかで積極的・主体的・挑戦といったキーワードに合致する人材って確かに欲しいけど、どの企業でも引く手あまただよね。シナプスより先行する見習いたいほどの会社には、特にそういった社員さんが多そうで獲得競争も熾烈そう。なのでシナプスは逆に、”必ずしもそうでもない”人材に潜在能力を発揮してもらえる会社を目指したほうがいいのでは…など、です。そういった部長との話を思い出して、ヒアリングでお伝えしました。その専門家の方もけっこう面白がってくれて、次回打ち合わせではその方向でのご提案をいただけるとのことで、とても楽しみです。

“必ずしもそうでもない”人材というと表現は悪いですが、自分自身も”そうでもない”側の要素が強い自覚があります。それなりの社会経験と立場によって社会人になってから事後的に、うまーく対処するやり方を体得してきた気がします。なので”必ずしもそうでもない”人材の活用は、けっこう前から考えてはいました。そしてシナプスでそれが実現できたら、多様な人材に存分に力を発揮してもらえる、それはすごい会社になるだろうなと。

問題は「じゃ、どうやって?」です。それができれば苦労しないよという類の話です。現時点でも明確な答えは無いです。ただこの方向かな?と言うのは、ブログタイトルの「特別扱い」です。これは今年の2月くらいだったか、障がい児教育などに携わる香川大学の坂井聡先生のインタビュー記事で出会った考え方です。
教育現場で「特別扱い」というと、えこひいきみたいなネガティブな印象がありましたが、坂井先生のそれは、「全員を特別扱いします」というものです。その記事の中で印象的だったのが、着替えのときにうまくボタンが留められない発達障がいの子どもに、どのように対処するか?という話です。普通は「ボタンをつまむ練習をしましょう」などと動作を教えるでしょうと。このような訓練を否定しないものの、坂井先生の考えはちょっと違って、「この服が着たい」と選べるようにすることの方が大事とのことでした。だって着たい服があったら、必死になって着ようとしますよ…と。これが「特別扱い」です。子どもが自ら積極的に取り組めるように、個々の性格にあったアプローチを徹底して考える「特別扱い」。シナプスが”必ずしもそうでもない”人材に、その秘める能力を最大限に発揮してもらえる環境を提供できるとしたら、そういった「特別扱い」の志向と仕組みが必要かなと。

そういった仕組みができればシナプスは自信を持って、社員や新卒学生に対して「みんなを特別扱いする会社です」と伝えられます。そしてそれは決して社員を甘やかすことではなく、また会社が社員に一方的に与えるものでもなく、その社員の気質に応じて、どういう風に働いていこうかと一緒に考え続けていくこととも言えます。
まずは今回のインターンシップの取り組みを通じて、チャレンジしていこうと思います。