社長ブログ

オペラント条件付け

こんにちは、シナプス代表の竹内です。
最近読んだ本は?という話をしていたところ「最近、自殺学入門という本を読んだ。」と聞き、おおぅ…と思いつつも、関心が湧いたので読んでみました。まだ読んでいる途中なんですが、なかなか興味深いです。生命に関わることで、かつ統計的に分析できるほどの十分な”データ”も無いことから、なかなか効果的な自殺対策は難しいようです。その本の中でブログタイトルの「オペラント条件付け」という考え方を知りました。オペラント条件付け…なんか難しそうですが、中身はごく当たり前でシンプルです。以下は、生半可な知識で書きます!

オペラント条件付けとは心理学の分野の言葉で、人や動物の行動について、行動の結果に報酬や罰を与えることで、その自発的な行動の中身や頻度に変化が起きる、その法則を示したものです。自殺学入門では、5つの法則が示されていました。なお言い回しは竹内オリジナルで、専門用語でも一般的な用語でもないです。

  • 法則1(報酬発生パターン)…ある行動の直後に報酬(好ましいこととか)があれば、その行動をする確率が高くなる。
  • 法則2(罰発生パターン)…ある行動の直後に罰(嫌なこととか)があれば、その行動をする確率が低くなる。
  • 法則3(報酬消失パターン)…ある行動の直後に報酬が無くなれば、その行動をする確率が低くなる。
  • 法則4(罰消失パターン)…ある行動の直後に罰が無くなれば、その行動をする確率が高くなる。
  • 法則5(何もないパターン)…ある行動の直後に報酬も罰も何も変わらなければ、その行動をする確率がやや低くなる。

どうでしょう、法則5つとも読んでみれば感覚的に当たり前ですよね。法則5だけ特異ですが、行動しても何も起きなければ、やる意味を感じないし飽きるから、行動の確率は確かに低くなりそうです。

なかなか扱いの難しい話題ですが、ここで自殺の話に戻ると、「もう死にたい。」と友だちに相談されたらどう対応すべきか?です。良い人ならきっと、その友だちの相談にしっかり耳を傾け寄り添うことでしょう。しかしです。オペラント条件付けを踏まえると、この寄り添いの行動は必ずしも好ましいものではなくなります。これは自殺をほのめかす友だち視点では、法則1の報酬発生パターンです。自殺をほのめかす→寄り添ってくれるという報酬が発生するため、「もう死にたい。」と言う行動が増えます。そして次に相談を受けた”良い人”視点で考えます。いくら寄り添っても友だちの行動が改善されないとき、これは法則5の何もないパターンに当てはまります。寄り添っても寄り添っても「もう死にたい。」の行動が何も変わらない。こうなると法則5に従って寄り添いの行動がだんだん少なくなっていきます。そしていずれ、この両者の関係は悪循環に陥っていきます。
ではこの悪循環をどう断ち切るか?相談を受けた”良い人”側が行動を変える必要があります。たいてい死にたい理由は容易に解決できないので、次善策とすれば、「もう死にたい。」と言おうが言うまいが寄り添うことらしいです。そのことによって「もう死にたい。」という動機がなくなり、法則5/何もないパターンに持ち込んで、その行動を減らしていくという考えです。そしてさらにその友だちが、うまく社会に適応した行動をしたときに、一緒に喜ぶ、褒めるなどの”報酬”を与えて、法則1/報酬発生パターンを作ることらしいです。なるほど!

オペラント条件付けですが、日常の仕事でも、また仕事に関わらず、公私のコミュニケーションにおいてもとても参考になりそうです。仕事で分かりやすいところでは、仕事上のミスを報告してくれたときに怒る…など。これは完全に法則2/罰発生パターンで、ミス報告をしなくなります。あとついやりがちなのが、法則5/何もないパターンでしょうか。やってもらう仕事を当たり前に思ってしまい、褒めることも指摘することもしないとか。徐々に好ましい行動が減っていくパターン、ありそうです。そして主観も混じりますが、オペラント条件付けを活用するときのポイントは「行動の直後」という点かもしれません。良い行動をしてもそれに対する報酬が数ヶ月後になれば、効用も薄れそうな気がします。

仕事のシーンのみならずコミュニケーションは本当に難しくて、手抜きが許されません。まあ別にずっと気を張ってコミュニケーションに臨んでいるわけではありませんが。会社の仕組みづくりを含め、参考にしていこうと思います。